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by harikyuusan
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心に残ったブログ記事

昨日、本宮の情報交流サロンのPR開催の応援で本宮へいく。
道中の中辺路の大銀杏ととがの木茶屋あたりの紅葉。

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色々とっているメルマガから、今日は心に残る記事があったので転載。
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  「人間のプロになれ」


   杉原輝雄(すぎはら・てるお=プロゴルファー)

               『致知』2008年8月号「致知随想」
               ※肩書きは『致知』掲載当時のものです


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■前立腺がんの告知
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

医師から「前立腺がん」の宣告を受けたのは、
11年前のことになる。

プロゴルファーとして40年目を迎えた年だった。

すぐにも手術が必要だと言われたが、
休めば一から体づくりをしなければならない。
60歳を迎えていた私にそんな時間はなかった。

手術を拒否して投薬治療をすることに決め、
食事も健康食に切り替えた。
さらに、短時間の運動で大きな効果が得られる
加圧トレーニングを開始し、
この体でやれるところまでやってやろうと決めた。

投薬をしながらではあるが、
71のいまもおかげさまで現役を続けている。
国内では通算54勝の戦績を収め、
気がつけば永久シード権を持つ
現役最年長のプロゴルファーになっていた。

一昨年には、つるやゴルフオープントーナメントの予選を通過し、
結果的にそれは米国のサム・スニード選手が残した
レギュラーツアーでの世界最年長記録を上回るものとなった。

決して満足な結果を残せているわけではないが、
試合に出る以上は目標を持ち、
どこまでもそれに挑戦していきたいと感じている。


私がゴルフを始めたのは小学校五5の時、
キャディーのアルバイトをしたことがきっかけだった。

そのバイトは中学校に上がってからも続け、
土曜の午後と日曜になると、たいていゴルフ場へ足を運んだ。
卒業する頃にはプロになれればいいなと思ったが、
いまのように養成所があるわけではない。
ゴルフ場で選手の近くにいるのが一番勉強になるだろうと思い、
洗濯係などもしながらプロになる道を探っていた。

私のことを「練習の虫」と言う人がよくいるが、
20歳でプロテストに合格してからも、
練習量はまるで足りなかったと思う。

ただ、私は試合で負けた人たちすべてを、
自分のライバルだと考えていた。
またゴルフ界に限らず、世の中で活躍している人であれば、
誰もがワンサイド・ライバル──
つまり、こちらで勝手にライバルだと決めて、
決して負けないつもりで生きてきた。


■人間の使命
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ゴルフにおける勝者は一つの試合にたった一人しかいない。
だからこそ、無数の負けとどう向き合うか、
また悲観的な状況にあっても、決して腐らず
一所懸命に取り組むことが大切になってくるのである。

そのことを私に教えてくれたのは、
オーストラリアのグラハム・マーシュという選手だった。
彼はもともとゴルフが下手で、
しばらくして日本ツアーに参戦できるようになったものの、
プレーの運び方が非常に鈍く、
他の選手やギャラリーたちをいつも苛々させていた。

約30年前に名古屋で開催された
中日クラウンズで彼と一緒に回った時、
初日、二日目とも成績は振るわず、
彼も私も予選落ちは確定と言える状態だった。

しかしマーシュは懸命だった。

18番ホールのグリーン上で、
入ろうが入るまいが大した意味のないパーパットを沈めようと、
彼は入念に芝目を読んでいたのである。

一方、勝ち目のない試合だと踏んでいた私は、
彼のプレーを苛立ちながら眺めていた。

しかしそのパーパットを着実に沈めたマーシュは、
翌週ぐんぐんと調子を上げ、
予選を通過するどころか、
見事優勝を決めてしまったのである。

その日の調子が良かろうが悪かろうが、
目の前にある一打一打を一所懸命に打たなければいけない、
常にベストを尽くさなければいけないと教わった出来事だった。

ゴルフは努力をしさえすればいい結果が
得られるものではないが、
どんな時でも一所懸命に取り組んでいないと、
よい結果には繋がりにくい。
その時その時において常にベストを求められるのは、
人生においても全く同じではないだろうか。

思えば小学校の頃からゴルフの世界に携わらせていただき、
いろいろな方にお世話になった。
昔はいまのように試合数が多くなく、
出場したくてもできなかったことがたくさんあった。

いまの若いプロゴルファーの多くは、
小さな頃から自分のクラブを与えられ、
試合に出られることも、練習をさせてもらえることも
当然のように思っている。

もっとも、私自身も気がつくのが遅かったが、
誰のおかげでゴルフをしていられるのかと考えた時、
私は試合後にお世話になったスポンサーや
コースの支配人宛に礼状を出すことにした。
40歳を過ぎた頃だっただろうか。

私は人は皆、生まれた時から“人間のプロ”になる
という使命を担っているのではないかと考えている。

人間であれば心があるのだから、
挨拶もするし、相手への思いやりも当然持つことだろう。
何も特別なことは必要なく、
当たり前のことを当たり前にできるようになれば、
その人は人間として立派なプロなのだ。

ゴルフに限らず、その世界の上位クラスで
活躍をする人は一流の素質か、
それに近いものを持っている。
しかし人間として一流でなければ、
その人の値打ちは半分以下になってしまう。

人間のプロ──。
病気や年齢の壁に立ち向かい、
自らに挑み続けることもその条件の一つであると思う。

(すぎはら・てるお=プロゴルファー)
 


         『致知』2008年8月号「致知随想」より
http://www.chichi.co.jp/monthly/200808_index.html



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by harikyuusan | 2009-11-30 11:35 | 画像(風景・イベント)